それぞれの夏、それぞれの味
無茶苦茶な暑さが、続いております。
夏休み、というには、あまりに早すぎる、なんと5月からの「長期休暇」で、コラム執筆、ご無沙汰しております。「体力温存」通り越し、そろそろ「オツムのミイラ化」が怖くなりますね。では、ゆるりゆるりと、参りましょう。
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さて、東京の暑さは、いまや<亜熱帯>を通り越し、マトモなニッポン原住民には、いまや「生命の危険」すら覚えさせるほどの凄さ、であります。海の向こう、フランスやアメリカなどでは、もう百人以上の犠牲者が出ています。まさに、「熱死 re si」の世界ですね。
中国大陸の夏にも、大変な厳しさがございます。ただ、なにぶん、総面積で日本の26倍にもなる大国。一口で<夏>といっても、それはもう、地域差がございます。
夏の暑さで有名な三都市(重慶・武漢・南京)を、「中国の三大かまど」と言うことがあります。わたしは、三つとも真夏に行ったことがあります。たしかに大変な蒸し暑さ。でも、ひょっとすると、いまの東京都心だと、絡みつき、焼け付くようなその暑さ、三大かまどにも負けていないかもしれません。
北方も、たしかに暑くなる。北京などでは、時として40度を超えることもあります。カッと、ガッと、アタマを叩かれるような暑さの日もございます。でも、そこはやはり北方。南方の、ジトジト、ジワジワ、という重さはあんまりありません。大連ぐらいになれば、日が沈むと、きわめて快適な海風が吹いたりもいたします。ときどき、サンフランシスコのような涼しさにもなります。
でも、往々にして、大陸の激しい陽射しは、あいまいな柔らかさを、許してくれません。エーゲ海の太陽の明晰が、古代ギリシア哲学の論理性をつくったという言い方がありますけれども、中国大陸の太陽も、負けず劣らず、くっきり、しっかりした影を、黄色い大地に刻み込みます。
こうした気候が、食べ物に影響してくるのは、もう間違いのないところです。すぐに思い浮かぶのが、カップヌードル。日本国の某大手メーカーは中国大陸では往々にして「取りこぼし」をしております。大陸で流行ったカップ麺の代表格は、いまではみんなが知っている「康師傅」であります。まさに、麻!辣!(マー!ラー!)の極致。とにかく真っ赤っ赤。いくらなんでも、こんな辛いばっかりのものは受けないでしょ。そのうち、我が国の、本当に美味しいカップ麺が、み〜んな駆逐しちゃうでしょ。
そう言っているうちに、とうとう、「康師傅」以外の民族系メーカーも、その他メーカーも、全部真っ赤っ赤になって、終わり、になってしまいました。
中国市場で、日本製品=メイド・イン・ジャパンの御旗をおしたてるのは、まだまだ多くのビジネス領域で可能だと思います。それは、これまで、わたしが著書やコラム、講演等で強調してきたことだし、基本的には、変わりません。
でも、いろんな夏がある、ように、多様性に溢れた中国市場には、いろんな趣向があるというのも事実なのです。エイヤッ、と「中国市場!」と大上段で構える前に、地域地域に適したビジネスはどういうものか、丁寧なフィールド調査をおこなう必要があるのです。
薄田 雅人
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